Windows10に無料でアップグレードできる期限である7月29日まで残り2ヶ月ほどとなってきました。新しいWindowsを使いたいということで、すでにアップグレードして快適にWindows10を使っていらっしゃる方もいるでしょうし、逆に「このパソコンはサポート期限が来るまでWindows7のまま使う」と決めて、アップグレードをしない選択をされた方もいらっしゃるでしょう。

思うようにWindows10の普及が進まないことに業を煮やしたのか、マイクロソフトは5月中旬に突如として強引なアップグレード推進策を取り始めました。
これまではパソコンの画面上でアップグレードするかどうかを尋ね、希望する場合は利用者が自分で更新日時を指定するシステムでしたが、マイクロソフト側が更新日時を自動で設定し、利用者が解除しなければそのまま更新し始める方式に
変更したのです。これにより『何もしなければアップグレードされない』という状況から、『何もしなければ勝手にアップグレードされる』という状況に大きく変わりました。「ある日突然Windows10へのアップグレードが始まった」という混乱はこうして起こりました。

意図せずアップグレードが始まってしまった場合に、一番危険なのは「慌ててパソコンの電源を強制的に切る」ことです。アップグレードの途中にこれをしますと最悪の場合パソコンが全く起動しなくなりますので、極力避けてください。
電源を切らなくても、まだアップグレードをキャンセルできる可能性はありますので、マイクロソフトが公開した下記の動画などをご参照ください。

OfficeMix : Windows 10 アップグレードが開始された後のキャンセル方法

また、自分のパソコンにアップグレードの予約日時が設定されているかどうかは、下記のページの手順で事前に確認できます。

ちょっと待って! Windows 10の自動アップグレードをキャンセルする方法 |できるネット
https://dekiru.net/article/13637/
アップグレード予約をキャンセルしたい場合は、この手順に従ってキャンセルできます。

これらのキャンセル手順が間に合わず、アップグレードが完了してしまった場合、まずはこれまで通りのパソコン作業ができるかどうか、Windows10上で一通り試してみるのが良いと思います。使用上何も問題ないのであれば、最新のOSでセキュリティも高く、サポート期限も長くなったわけですから、そのままWindows10としてご利用された方がいいでしょう。

一方、Windows10ではこれまで出来ていたことが出来なくなってしまった場合や、どうしても以前のWindowsに戻したい場合、アップグレードしてから1か月以内であれば、元に戻す機能が用意されてはいます。詳細な手順については下記のページをご参照ください。

Tech TIPS:アップグレードしたWindows 10を元のWindows 7/8.1に戻す(復元する) (1/2) – @IT
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1508/10/news031.html

ただ、上記サイトの2ページ目でも触れられていますが、この「元に戻す」機能も万能ではないようです。バージョンが異なる2つのWindowsの間で、アプリケーションやデータを引き渡しと取り戻しを行なうことになるため、そのやり取りの間に、バージョンの違いから生じる何らかの不具合が残ってしまうということが実際に報告されています。『以前のOSに戻す機能』という呼び方をされていますが、その仕組み上「アップグレード前の状態に100%戻る」とは言い切れないのです。

具体的な症例としては、
・日本語入力用の言語バー(IMEツールバー)が表示されなくなった
・『Windows Live メール』の送受信に不具合が発生するようになった
・Windows10に対応していないアプリケーションなどが削除され、7に戻しても復元されない
などが挙げられています。

このような現象を見る限り、「元のOSに戻せる機能が用意されているのだからアップグレードしても問題はない」というマイクロソフトの主張は苦しいものと言わざるを得ません。

さすがに、あまりの批判の大きさに驚いたのか、マイクロソフトは「Windows10 へのアップグレードを抑止する方法」についてもあわてて公開したのですが、その内容を見ると、パソコンが動作する上で非常に重要で繊細な情報となる「レジストリ」を手入力する工程が含まれるなど、誰でも確実に操作できるとは言えないような不親切なものです。もっと簡単にかつ確実にアップグレードを抑止できるツールを公開してくれると良いのですが。

【しばわんこ】