ここ20年の間に世の中は急速に電子化が進みました。今やパソコン保有世帯の割合は80%を超え、インターネット利用率も60代前半で82%、70代でも54%にのぼるそうです。高齢者が積極的にインターネットを活用し、生活を
便利にすることは非常に良いことですが、昔であれば、紙として保管されていたようなものが、ほとんどデジタルの世界に収まってしまったことにより、本人にもしものことがあった際、遺族がその取り扱いに悩むケースが増えているとのことです。

まずは直接的な金融資産であるネットバンキングやネット証券の口座などです。
本人以外、その口座の存在すら知らず、遺産を分配し終わった後に見つかってトラブルになったりすることがあるようです。また月額制の会員サービスなどに入っていたのを家族が知らず、その後もずっと料金が引き落とされ続ける、ということも考えられます。存在を知っていたとしても、ページにアクセスするためのパスワードは聞かされていないために入れないということもあるでしょう。

思い出の写真なども、今はパソコンの中に保存されていることが多いと思いますが、これらについても、ログオンするためのパスワードや、保存されている場所が分からないと見つけられないということになります。

実際のところこれらの問題は、持ち主がいなくなってしまってからでは対処が非常に困難となりますので、本人が健在のうちに予め整理をし、ノートなどに書き留めて、その保管場所を家族に伝えておく、というのが最善の対策となります。具体的には、前述のネット銀行等の口座や有料サービスのリストおよびそのID・パスワードを記載します。また、パソコン内に思い出の写真や、残したい手紙や住所録などがあるのであれば、その保存場所やパソコンのログインパスワードも書いておきます。パソコンの中身については、逆に「見て欲しくないもの」も多少はあるでしょうから、見て欲しいものをリストアップしたうえで、「それ以外は見ずに消去してくれ」と書き残しておけば、やさしい家族は望み通りにしてくれるかと思います(笑)。まあ、どうしてもという場合には、一定期間パソコンにアクセスしないとデータを削除するソフトなども存在しますので、そういうのを使ってみるという手もありますが。

もちろんこれらの話は、年配の方に限った話ではなく、私のような働き盛りの年代でも、不慮の事故や突然の病気など、いつ何が起こるか分かりませんので、全ての現代人が用意しておく必要があることだと思います。

【しばわんこ】